円安進行は輸入価格の上昇を通じて、約15年間下落が続いていた日本の物価を押し上げている。
11月の消費者物価指数 (CPI、生鮮食品を除く)は前年比1.2%上昇と2008年10月以来の高い伸び率となり、日本銀行が2年程度で達成するとしている2%の物価安定目標の半分余りに達した。政府は12月の月例経済報告で、物価動向を「底堅く推移している」と判断、4年2カ月ぶりに「デフレ」の表現を削除した。
宮田氏はかつて、1971年の「ニクソンショック」を機に崩壊した固定相場制時代の360円から約40年続いた円高トレンドが2011年に75円程度でピークを付けて終了するとの予想を的中させた。また、円が4年半ぶり安値を付け、その後反発した昨年5月には、第3波の円安局面が間もなく終了し、第4波の円高局面を経た後の第5波で「秋から2014年春」の間に105円50銭程度まで円安が進むと予想していた。
ブルームバーグがまとめた為替予測調査では、14年は引き続きドル高・円安傾向が続き、ドル・円は年末に110円(予想中央値)に達するとの見通しが示されている。
■日米格差
みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、米国は財政の足かせが取れることで成長が加速する一方、日本は消費増税などの影響もあり減速やむなしとの予想が多く、「景況感格差やそれを背景とした日銀の追加緩和期待と米国のテーパリング(量的緩和縮小)といった金融政策格差の広がり」を背景に、「ドル・円の先高観はかなり強い」と指摘。
自身も年末に向けて「110円を超えるような」円安を予想する。
一方、ウエストパック銀行の為替ストラテジスト、ジョナサン・キャベナー氏(シンガポール
在勤)は、15年10月に10%まで引き上げる予定の消費増税が「株式市場のセンチメントに対して逆風になり始めている」とし、株安がリスク回避の円高をもたらす可能性を指摘。
日銀の金融政策についても「すでに限界に達しているとは思わないが、大規模緩和を打ち出した昨年春よりも緩和余地は確実に小さくなっている」とし、追加緩和に動いても前回ほどのインパクトは見込めないと読む。
ブルームバーグがエコノミスト35人を対象に先月行った調査では、消費税が8%に引き上げられる4−6月を中心に、9月までに日銀が追加緩和に動くとの回答が大勢(28人)を占めた。米連邦準備制度理事会(FRB)は景気回復に伴い、今月から量的緩和の縮小を開始する。
ウエストパック銀は年末のドル・円相場を99円と予想。これはブルームバーグ調査がまとめた予想の中で2番目の円高水準で、45機関の予想レンジは96円から120円となっている。
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